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弁護士

弁護士
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
弁護士(べんごし)とは、法的手続において当事者の代理人として法廷で主張・立証等を行うほか、各種の法律に関する事務を行う職業、またはその資格を持った人である。当事者の代理人として委任契約で報酬を得る。その職掌・資格に関しては、日本では弁護士法などで規定されている。シンボルは中央に天秤を配した向日葵。
目次
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1 弁護士制度のルーツ
2 日本国の弁護士制度
3 弁護士となりうる者
3.1 弁護士の権力からの独立性
3.2 弁護士の組織活動
3.3 他の法律関係資格との兼ね合い
4 日本の弁護士の現状と問題点
4.1 弁護士の専門化
4.2 利用しやすさの問題
4.3 代理権の付与拡大
4.4 弁護士法72条の解釈と法律専門職との職域関係
4.5 弁護士の収入
5 関連団体
6  関連項目
7 外部リンク
[編集]弁護士制度のルーツ

西ヨーロッパで主にローマ法のもと制度として発達した。ラテン語では advocatus、コモン・ローにおいては法廷に立つ資格の有無に差がある。
中世ヨーロッパでは法律家を養成するため各大学に法学部が設置されていた。
日本の弁護人の制度は、明治になり近代的司法制度の導入とともに誕生し、代言人と呼ばれていた(明治の旧弁護士法制定までは専ら「代言人」と称されるようになった)。一回三百文で代言を引き受けていた事から、現在でも弁護士を罵倒するのに「三百代言」という言い方をする事がある。代言人の地位は決して高くはなく、軽蔑されることも多く、また、初期にはきちんとした資格制度が存在していなかったために、中には悪質な者も存在した。江戸時代における公事師を弁護士の祖形ともする人がいるが、法による支配が十分でない江戸期においては本質的にかなり違うもので、単なる口ぞえ人、あるいは官に提出する書類について便宜を図ってくれるという点でむしろ後の代書人に近い。
明治26年(1893年)に近代的な「弁護士法」が制定され、初めて「弁護士」という名称が使われるようになった。だが、当時の弁護士は司法省(検事正)の監督のもとにおかれ、その仕事も法廷活動に限られていた。弁護士は裁判官や検察官よりも格下とされ、試験制度も異なっていた。昭和11年(1936年)の改正によって弁護士の法廷外での活動が認められるようになった。
戦後、昭和24年(1949年)に新しい弁護士法が制定され、国家権力からの独立性が認められた。同年、日本弁護士連合会が結成された。司法試験によって裁判官、検察官、弁護士を一元的に選ぶこととなった。以下本稿では戦後日本における弁護士制度について述べる。
[編集]日本国の弁護士制度

民事訴訟では原告・被告等の訴訟代理人としてその主張が認められるように主張や立証活動等を行い、刑事訴訟では被告人の弁護人として被告人が無罪、あるいは(弁護人・被告人の観点から)適切な量刑が得られるように、検察官と争う。なお、弁護士と弁護人は別の概念であり、弁護士でない文化人が「特別弁護人」として法廷陳述を行うことがある。弁護士は、弁護人の立場になることのできる資格名称である。
破産や民事再生、会社更生法の申請などの法的手続やこれに関連する管理業務などの法律事務を行い、これに関連する法律相談も行う。
また、刑法における、公務員職権濫用、特別公務員職権濫用、特別公務員暴行陵虐、他、公安調査官における罪に限り、検察官が被疑者を起訴しなかった場合の附審判による管轄裁判所から準起訴手続が決定した場合の公判の維持(検察官役)を行う。
[編集]弁護士となりうる者

日本で弁護士になるには、原則として2つの経路がある。1つは法務省の司法試験委員会が行う司法試験(現在の名称旧司法試験)に合格し、司法研修所での、司法修習を修了する。もう1つは法科大学院課程を修了し、法務省の司法試験委員会が行う新司法試験に合格し、司法研修所での、司法修習を修了するというものである。このほかに、最高裁判所判事の職にあった者や司法試験に合格し大学・短期大学及び高等専門学校で法律に関する教授もしくは助教授を5年以上経験した者など特定の職業に一定期間就き日本弁護士連合会の研修を修了した場合等には、弁護士の資格が与えられる。また、弁護士会に加入し弁護士登録をする事が業務を行なう要件である。弁護士法により、弁護士資格を持っていない者が弁護士を名乗ることは禁じられている(名称独占。弁護士法74条)のみならず、弁護士資格を持たない者が「報酬を得る目的」で「紛争性のある事案」について法律事務を「業とする」ことも原則禁止されている(弁護士法72条「非弁行為」。業務独占資格の一つ)。
[編集]弁護士の権力からの独立性
各地方裁判所管轄区域(=北海道の4ブロックと都府県)毎に置かれる弁護士会や日本弁護士連合会(日弁連)が弁護士の監督を行う(ちなみに戦前は司法省に弁護士・弁護士会を監督する権限が与えられていた)。このため、一般的な職能団体とは異なり、弁護士会や日弁連は強制加入団体となっている。 (なお、行政書士会や司法書士会なども、強制加入団体となっている。)もっとも、これらの独立性については、憲法では三権分立を規定しているが、司法活動の一端を担う弁護士会は完全なる自治を行っており、最高裁判所や法務省などの監督がないため、このことが、三権分立に反し弁護士法違憲論という説がとなえられている。また、弁護士の懲戒も、弁護士会が自治的に行っており、なれ合いではないかという批判や、民主主義的な弁護士監視機関がないことなどにも批判があることも事実である。

[編集]弁護士の組織活動
日本の弁護士の多くは、「○○法律事務所」「○○弁護士法人」のような名称の事務所をみずから経営し、もしくは他の弁護士が経営する事務所に所属して活動している。日本の法律事務所は、アメリカ・イギリスなどの大規模法律事務所と比べ規模が小さいが、近年は、日本の法律事務所も合併などにより大型化し、四大法律事務所のように200人以上の弁護士が所属する法律事務所も増えている。法人化を認める弁護士法の改正がなされたことから一部の法律事務所は法人化しており(その場合の名称が上記「弁護士法人」である。)、法人化した場合には、事務所を複数持つことができるなどのメリットが認められる。また、最近は企業に直接雇用される弁護士も増えている。
一般に弁護士が所属するオフィスを指して「弁護士事務所」と表現することがあるが、法律上は「法律事務所」「弁護士法人」のいずれかを名称に含めることが強制されているため、正式名称ではない。
弁護士の事務所には、組織法的には民法上の組合と弁護士法人の2種類がある。有限責任組合(LLP)の形態は日本法では許されていないのである。
一方、法的観点を離れた組織のあり方としては、ローファームや共同事務所といった種類がある。扱う案件の内容によっては、渉外事務所、総合事務所、ブティックなどのような種類がある。
構成人数としては、1人のものから200人以上のものに至るまでさまざまであるが、大人数の事務所は東京や大阪に集中している。
[編集]他の法律関係資格との兼ね合い
日本の弁護士は、その職務に付随する場合に限り、司法書士、行政書士、社会保険労務士、海事代理士、海事補佐人の職務を行なうことができるが、公認会計士、土地家屋調査士の業務については行うことが出来ない。弁理士、税理士については、職務に付随しなくても弁護士法上当然にこれらの職務を行うことが出来る。 なお、弁護士となる資格を有する者はその資格をもって、弁理士、税理士、行政書士、社会保険労務士、海事補佐人の資格登録をすることができるが、司法書士や海事代理士などの資格では、弁護士であっても所定の国家試験に合格しなければその資格を有することはできない。(なお、『弁護士となる資格を有する者』とは、司法試験合格のみでは足らず、司法修習を修了した者をさす)
[編集]日本の弁護士の現状と問題点

[編集]弁護士の専門化
旧司法試験が合格困難な試験であるとしても、試験において問われる科目は、いわゆる六法(憲法・民法・刑法・商法・刑事訴訟法・民事訴訟法)のみであり、その試験に合格したから、また実務研修を経たからといっても、すべての法律に関する知識を有するわけではなく、あらゆる事例に精通するものではない。近時、規制緩和や行政指導中心の制度からの脱却に伴い、弁護士が担当する分野は拡大し続けている。従来的な弁護士のイメージである法廷活動のみならず、日常的な企業法務から大規模買収事案、企業金融、倒産処理、国際間取引、知的財産権などのジャンルで、ビジネス分野の弁護士活動の領域が広がっている。
かかる職域の拡大とともに、最近の弁護士資格取得者の増加による競争の激化により、弁護士には専門的な知識が要求され、必然的に各弁護士の専門領域は限定されていく傾向にあると言える。
[編集]利用しやすさの問題
弁護士という職業の存在自体は広く認識されているにもかかわらず、個人が実際に利用することは稀である。弁護士の関与が望ましいはずの契約交渉、民事紛争処理等においても、可能な限り法的色彩を持たせずに、当事者間の話合い等により解決することが望ましいという風潮が強い。裁判等の法的手段に訴えることが紛争処理の最後の手段として考えられていることとあわせ、弁護士の関与もその最後の手段の一部としての認識が根強い。
従来、弁護士はその職業の性格上、宣伝広告をするべきではない等の考え方が一般的であり、弁護士ないしは法律事務所の広告は行われていなかった。この規制は近時の制度改革により撤廃され、大都市を中心に債務整理、破産手続等を担当する法律事務所を中心に広く一般に対する広告が目立つようになってきている。
弁護士報酬は、原則として各弁護士が定めるものであって統一的・客観的な基準はなく、同様に専門家のサービスの提供を受ける医療と比べても保険制度が存在しないことから、あまり明確に共通認識がなされていない。実際、個人の依頼者にとっては、その報酬は高額とのイメージとなりがちであり、資金面での不安から依頼を躊躇する者も多いのが現状である。
資力の乏しい者が弁護士の援助を受ける方法としては、法律扶助協会による法律扶助の制度があり、「勝訴の見込みがないとはいえない」場合に、弁護士費用や裁判費用の援助が受けられる。また、刑事事件では、被疑者となった場合に、1回に限り無料で弁護士の出動を依頼できる当番弁護士制度、無資力の被疑者のために弁護士費用を援助する被疑者弁護扶助制度、刑事被告人に資力がないときに裁判所が被告人のために弁護人を選任する国選弁護制度などの制度があり、また一定の重罪事件については、被疑者段階でも無資力の被疑者のために国選弁護人を付する被疑者国選弁護人制度が設けられているなど、各種の制度が整いつつある。もっとも、当番弁護士制度は弁護士自身の負担で維持されている状況であり、国選弁護人に対する報酬が低廉であること、被疑者弁護扶助制度について十分に知られておらず、貧しいために被疑者段階で本来必要な弁護人の援助を受けられない者もいるなど、問題点も多い。
[編集]代理権の付与拡大
訴訟代理は従来弁護士の独占業務で、弁護士資格を有しないものにはできないものとされており、弁護士へのアクセスの難しい地方や少額の事件について、弁護士を立てずに行なう本人訴訟を余儀なくされていた。かかる状況を改善するため、司法制度改革の一環として、弁護士以外の特定の法律専門資格の保持者(司法書士)にその関係分野や一定の金額までの紛争に限定して訴訟代理権を与えることや、法廷以外での紛争解決制度(ADR)を設ける動きが広がっている。
例としては、2003年に、一定の研修を受け、認定試験に合格した司法書士(簡裁代理認定司法書士)には簡易裁判所での訴訟代理権が認められた。以前は、司法書士は法的裁判所に提出する書類の作成はできたが,訴訟代理権は認められていなかった。簡裁代理認定司法書士は、簡易裁判所における通常訴訟や少額訴訟、民事調停、裁判外の示談交渉、和解手続(但し、簡易裁判所の民事訴訟の対象となるものに限る)等の代理を行うことが出来るようになった。これらの権限の拡大に伴い、紛争当事者の権利を保護するために懲戒規定の強化がなされている。
また、代替的紛争解決制度における代理権(ADR代理権)は、司法書士の他、弁理士、土地家屋調査士、社会保険労務士の4士業について付与されることとなった。なお、行政書士、不動産鑑定士、税理士などについては、ADR法の施行後に、手続実施者としての実績等を見極めたうえで、将来の検討課題とすることとされた。

[編集]弁護士法72条の解釈と法律専門職との職域関係
司法制度改革以前から「弁護士や司法書士がやらない業務を行政書士がやる」として、行政書士が法律事務を行うケースが多々あった。この点、弁護士法72条の解釈と行政書士法に基づく行政書士業務との関係で問題が指摘されているところである。
弁護士法72条の解釈については、弁護士法72条が禁止している弁護士業務を「事件性のある法律事務」と解する事件性必要説と、「事件性のない法律事務」と解する事件性不要説がある。日弁連は後者の事件性不要説を支持しているが、不要説は刑罰法規である同規定を最大限に解することになるとして、法務省、総務省(それぞれ弁護士法、司法書士法、行政書士法の所管官庁)、検察庁等の実務では事件性必要説が支持されている。学説においても事件性必要説が通説とされているが、下級審での判例はそれぞれ事件性必要説と不要説を支持するものがみられる。
事件性必要説からは、事件性の程度(=紛争の成熟性)が問題となるが、これは単に権利が対立するだけでは足らず、訴訟など弁護士法72条に列挙される事項と同程度に紛争が成熟している必要があるとする。さらに当初紛争性を帯びていなかった事案でも処理の過程において紛争性を帯びることがあるため、その予見性が問題とされる。この点について、紛争性は潜在的なものでは足りず、具体的な蓋然性が必要とする。事件性必要説からはこれらは当然の帰結であろう。
事件性必要説に拠れば、弁護士以外の者が、相当程度に紛争性を帯びる具体的蓋然性のない事件(予見性)、又は紛争性を帯びる場合でも訴訟等と同程度に紛争が成熟していない法律事件(成熟性)、を取り扱う場合には、直ちには弁護士法違反にならないことになる。その限りで他の資格者による法律事務の取り扱い、代理行為も合法となる余地がある。(前者の例として、行政書士、司法書士、社会福祉士等が成年後見に関する相談を受けて手続きを行い報酬を得る場合、後者の例として、相手方が弁済の意思を表明している場合に行政書士が内容証明郵便や口頭で貸金返済請求を行う場合、事故責任を自認し損害賠償の意思を表明する加害者と行政書士がその和解内容について示談交渉をする場合などが好例である。)
なお、漫画「カバチタレ!」は事件性必要説の立場で作られたもののようであるが、事件性不要説の立場から、当該漫画で描かれている行政書士の業務内容には「非弁行為が含まれている」という指摘がある。
[編集]弁護士の収入
日本弁護士連合会が実施したアンケート(弁護士4,446人が回答、2004年5月発表)によると、平均年収(総収入から経費を除いたもの)は約1,700万円となっている。 個人や会社から収入を得る業務の他に、裁判所に選任され裁判所が報酬を決定する業務や司法支援センターとの契約により報酬が支払われる業務がある(刑事被疑者・被告人の国選弁護人業務、破産管財人業務、相続財産管理人業務など)。
[編集]関連団体

日本司法支援センター(法テラス)
[編集] 関連項目

弁護士法
司法試験
法律事務所
日本弁護士連合会
司法書士、弁理士、税理士、行政書士、社会保険労務士、海事代理士、海事補佐人
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